表紙へ戻る   話の百科  NEXT


 五輪今昔物語


 朝日友の会で発行している「アサヒメイト第317号」平成16年8月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。

★ 施設は遅れ、屋根なし競泳場

オリンピックは8月13日からギリシャの首都アテネで開かれる。 近代オリンピックは108年前に、クーベルタンによって、ここで 第1回が開催された。オリンピックルーツ国だけにメンツもあるのだろう。 今年、第28回の主会場のスタジアムはスペイン建築家カラトラバの設計。 アーチ型、曲面ガラスを支える開閉式の奇抜なデザインで、大会組織委員会は 「大会の宝石」と自慢する。 だが、なにせEU(欧州連合)の中では財政的に極めて苦しい国のうえにのんびり の国民性。完成は開催間際になりそうで、結局、競泳場には 屋根を付けないことになった。夏は30度を優に越す猛暑になるが。 屋根なし競泳は1992年のバルセロナ五輪以来。さて記録は?

★古代五輪開催地は遺跡

 古代オリンピックが行われたオリンピアを10数年前訪れた時を思い出す。 アテネから車でペロポネソス半島を西回りに320`を8時間、山合 いの町のはずれにあった。競技場一帯は神々の神域、全能の神ゼウス 神を記念する祭典として始まったというが、神殿破壊令や大地震で 埋もれてしまった。今はあちこちに石柱が残り、石などがごろごろ の遺跡。周辺はオリーブの木立。勝者にオリーブの冠を載せたのも うなずける。 紀元前776年から4年に1回開かれ1000年以上続いたが 宗教問題などで中止。だが、近代五輪になってもゼウスの妻ヘラーの神殿跡で 聖火が採火されるのはさすがだ。この3月25日にも採火され、世界5大陸を巡った。

★古代五輪は男性だけの裸の競技

アーチ型の入場門が石組みで残っていた。くぐるとトラックが 広がる。長方形でコースの長さ192b。土盛りの観客席や審 判席もあった。しかし、古代は男性だけの競技で身に何もまとはず 、つまり裸でプレーしたので、女性は門で止められたのだろう。

★高かった女性参加の壁

満薗文博著「オリンピック トリビア!」(新潮文庫)による と、古代は別に女神ヘラーに捧げる女性だけの短距離オリンピック があったが、盛大にはならなかった、という。これも裸だったのか?   近代五輪も女性の参加は1900年のパリ大会から、女性マラソ ンは1984年のロサンゼルス大会からで、たった20年の歴史。 それにしても女神ヘラーは偉大だったのに、五輪への女性参加 の壁が以外に高かったのは不思議で、皮肉だ。(元朝日新聞編集委員  吉原 暢彦)


表紙へ戻る   話の百科  NEXT