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話の百科・タンゴの本場ブエノスアイレスは今
朝日友の会で発行している「アサヒメイト第273号」平成12年12月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。
下町にバンドネオンが流れる
映画「Shall we Dance」の影響もあってダンスが人気だ。特に熟年に。昔、なにやら難しい顔で設計図を書いていた、元小松リフトの設計部長だった親友Iも、「最近、夫婦でダンスのレッスンを始めたよ」と革命的便り。ダンスといえば、バンドネオンに乗って踊るタンゴがいい。この夏、アルゼンチンタンゴの本場ブエノスアイレスを訪れ堪能した。
劇場は倉庫を改造したレトロ調で2000人入れ、食べ飲みながら観賞する。直径5bもあろうかという円形舞台は港町を表すガス灯1基だけ。その周りにバンドネオンとバイオリン奏者各4人にコントラバスとピアノの典型的オルケスタ・ティピカ編成。
煙が立ちこめる港町ムード
薄暗い中で強烈、ダイナミックな演奏に乗って情熱的に演じられる。狭い舞台に3組も登場する派手な演技は激情的でさえある。舞台の下から時折り煙りが舞い上がり、立ちこめ、まるで霧の港町風。ヨーロッパから港町ボカ地区にたどり着いた労働者が歌ったのがタンゴのルーツとあって、そのムードを再現している。
フイルターにかけたような、きれいな舞台で演奏し踊る日本のタンゴリサイタルとはまるで違う。最近、演奏中の写真撮影は禁止になった。ビデオなどの売り上げに影響するとか。ケチになって“ボカ”?気に食わぬ。
オナシスも暮らした長屋
その発祥の地ボカ地区には赤や青、黄色の原色の長屋が並ぶ。船が化粧した残りのペンキを塗りたくったもの。今は観光地で土産物屋が多いが、喫茶店にクリントン大統領が訪れた時の記念写真が飾られていた。あの富豪オナシスもこの港で船頭をしていたとか。名曲「カミニート」(小径)を演じていた街頭音楽家もすべて“望みなきにしもあらず”か。(大阪成蹊女子短大講師)
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