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 飛行機の重量で人間はわずか8%

 ジャンボ機に占める乗客重量はひとつまみ

 飛行機に乗って特に海外へ行く場合、大きな荷物を持った乗客で満席の場合「こんなに乗ってうまく離陸できるのかな?」といささか心配になった経験はありませんか。しかし実際には乗客のスーツケース込みの重量は総重量のわずか8%にしか過ぎず全く関係ないのです。日本の航空会社の主力機になっているジャンボ機(B747−400型)を例にあげましょう。  海外へ飛行する場合、431席型機で満席、燃料を満タンにしますと総重量は約400dになります。内訳は自重が183d(救命胴衣、乗員とその荷物、乗客へのサービス品、食料などを含む)、主翼を中心に満タンにして燃料が180d。これだけで総重量の90%を超えてしまいます。肝心の乗客ですが、1人についてスーツケースなど荷物込みで平均73`と計算しているので計32d、総重量に占める割合はわずかの8%にすぎません。大体、体重は50`前後で、スーツケースは20`前後ですから、人間なんてジャンボ機の前では一つまみでしかないわけです。

 緊急時も燃料を捨てないと降りれない

 ただし、これだけの重量ですから、離陸してよほどの緊急事態が発生した場合以外はただちには着陸できません。16本の車輪に重量がかかりすぎるためです。ジャンボ機の場合、着陸する時の重さは286d以下と決められているのです。したがって114d以上の燃料を処理しなければなりません。ですから、離陸中にエンジンへ鳥などを吸い込んだりして、緊急着陸する場合は海上で燃料を投げ棄てます。

 日本型エコノミーSR機

 ついでながらこのジャンボ機にはLR(ロングレンジ)とSR(ショートレンジ)があります。LRは外国路線用ですが、SRは日本の国内線用機です。もともとジャンボは米ボーイング社が広大なアメリカ国内などノンストップ6、7時間飛行することを前提に製造したものです。しかし狭い日本では大阪から北海道・千歳や沖縄まで飛んでも約2時間です。食事も軽食のサンドイッチ程度ですから厨房が不要、積載燃料も少なくていいわけです。国内線用SRは座席をLRより100席から120席増やした“日本型エコノミー機”として特注したものです。ただし足回りは強化しています。
 ジャンボ機は大阪万国博覧会が催された昭和45年(1970)に就航しましたが、SR機は同48年から。JTBやJRが発行している時刻表の「航空ダイヤ・国内線」の項の機種に「SR」とありますが、この“エコノミー機”使用という意味です。
 吉原暢彦(元朝日新聞編集員)


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