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 ウイスキー・ガチョウ・猫の話 


 朝日友の会で発行している「アサヒメイト第295号」平成14年10月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。

▼ガードマンはガチョウ

ウイスキー「バランタイン」を飲む時、ギース(ガチョウ)がいっせいに鳴く光景を 思い出す。実は、英国バランタイン社のウイスキー熟成蔵を見に行った時の印象が強 烈なのだ。このウイスキーは日本のサントリーとバランタイン社の合弁「サントリー アライド社」が輸入しているが、縁あってスコットランド・グラスゴーのバランタイ ン社を訪問した時に紺の地にかわいいガチョウを無数に刺繍したネクタイをプレゼン トされた。同社のマスコットという。「なぜ?」と聞くと笑って熟成している樽蔵へ 案内してくれた。近づくと、約200羽のガチョウが「ガーガー」と一斉に鳴き出し た。昔は辺りに民家もなくウイスキー泥棒が多発、それを撃退するのに音に敏感な ギースを柵をして飼っていた。今は感電網など完備しているが、いくつもある蔵の1 つだけ “ギース蔵”を残している。

▼寝そべる肥満ウイスキー・キャット

 ネッシーが現れるとして人気のネス湖の近くからスペイ川を南下すると川沿いに1 00以上のモルト蒸溜所が並んでいる。スコッチウイスキーはこのモルトを10種前 後バッティング(混ぜる)する。その1つグレンドナック蒸溜所でポットスチル(蒸 溜釜)室に入って驚いた。肥満猫が寝そべっているではないか。原料の大麦を食い荒 らすネズミ退治で飼っていたもので、近代化した現在は必要ない。が、シンボルとし て1匹だけ飼っている“ウイスキー・キャット”だった。

▼城ホテルはノック・コール

泊まったホテルもひなびた村で200年前の貴族の城(シャトー)を改造したもの で、20数室しかない。シングルモルトが並んだバーまであるのはさすが。モーニン グコールは手でトントンと叩く。庭を野ウサギが走っていた。あちこち予想以上にヘ リテージ(遺産)を重んじる国柄に感心した。(元朝日新聞編集委員 吉原 暢彦)


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