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癒しの熊野聖地・サンマ歌碑から観音信仰
朝日友の会で発行している「アサヒメイト第303号」平成15年6月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。
▼サンマの歌碑
「あわれ秋かぜよ 情あらば伝へてよ 男ありて 夕餉にひとり さんまを食らひて
思いふけると(略)さんま さんま さんまにがいか塩っぱいか」南紀の旅のス
タートはJR勝浦駅前にある詩人、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」歌碑から。庶民的で味
がある。特に“しょっぱい”という表現が面白い。まず出身地・新宮市へ。市立の
「佐藤春夫記念館」は熊野速玉大社境内にあった。玄関を入ると肉声の「秋刀魚の
歌」(テープ)が流れてきた。
▼不死薬求め来日した徐福の墓
新宮には2200年前、中国・秦の始皇帝の命で「不老不死」の薬を探しに新宮へ
来て没した徐福を記念した「徐福公園」がある。中国風門を入ると長い髭を生やした
徐福の石像や墓、発見した?という「天台烏薬」の木が成長していた。今も“徐福さ
ん”と親しまれ、日本に約20カ所ある徐福伝説もここがルーツと思いたくなる。
戻って那智の滝へ。一番札所、青岸渡寺まで上がると朱色の三重塔横に滝が見え
る。急な滝道を下ると飛滝神社に。滝がしめ縄の下133bから激しく落ちる。
「滝」がご神体なので鳥居越しに落下するところが熊野信仰らしくてユニーク。帰り
に大門坂バス停横の坂を上がると「熊野古道」の実感がわく。
▼浄土を求め死出の船出
国道42号へ出るそばにある補陀洛山寺。本堂左に「渡海船」が再現されていた。
入母屋型の帆船で4隅に「発心門」「修行門」「菩提門」「涅槃門」の殯(もがり)
鳥居が立っている。説明では「補陀洛(ふだらく)浄土」(観音浄土)を信じ那智か
ら船出した“捨身行”の証。平安〜江戸時代にかけ寺の住僧ら20人以上が船出した
が、釘付けして出られないようにしたという。さしずめ“海の即身成仏”か。自ずか
らの“腐堕落”を反省、信仰の厳しさを偲ぶ“聖地ドライブ”だった。
JRの「駅レンタカー」を紀勢線勝浦駅で借り丸2日間600`走った。予約する
と乗車券20%、特急券10%引き。1300ccのカーナビ車で、燃料込み1人3
500円で済んだ(3人乗車。全員が同じ駅発なら3人共に割り引きになるので、更
に安くなる)。これは“駅廉価カー”だ。(元朝日新聞編集委員 吉原暢彦)
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