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食は中国にあり
朝日友の会で発行している「アサヒメイト第309号」平成15年12月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。
▼市場に蛇から猫まで
「食は広州にあり」という。中国・広州へ行くと納得する。なにしろ市場には蛇から
犬、猫まで売っている。猫のスープは高級レストランで出るとか。とにかく中国は食
材が豊富。かつてウルムチ、トルファン(中国新彊ウイグル自治区)へ旅した時、双
方のホテル夕食に 「子羊の丸焼き」が出た。口にオリーブ、赤いリボンして、うつ
むいた丸焼きが台車で登場し“丸焼きショー”。味はともかく“丸焼き”だけで迫力
十分。
▼“子豚丸焼き”のルーツは火事で焼けた豚
“丸焼きショー”といえば「子豚の丸焼き」が有名。生後2、3カ月が最高、表面
がこんがり焼けたのを見せ、飴色でつややかな皮の部分だけを食べる。
「子豚の丸焼き」ルーツについて作家・経済評論家の邱 永漢著『食は広州に在
り』(中公文庫)に「ロースト・ピッグ(ぶたの丸焼き)」として出てくる。それに
よると、人間がまだ生(なま)でしか肉を食べることを知らなかった時代、中国で火
事があった。駆けつけた少年は焼け跡の中から子豚を出そうとして、焼け豚に触れ指
が熱くてたまらず口に入れた。それが、なんとも美味にびっくり。
▼養豚家の火事増えてアシ
その後、子豚が食べごろの家が次々と焼けた。疑いをかけられた少年は法廷に立た
され、証拠に“焼け豚”が。おいしい匂いに裁判官も指を触れ、熱くてくわえたとこ
ろ、頬が落ちそうになった。以後、自分の家に放火する人間が増えた、という。
中国・蘭州市で知人に「何回も来たが本場のラーメンを食べたことがない」と言っ
たら「馬子禄(まつる)牛肉面」店へ案内してくれた。牛肉ラーメンだけだが長蛇の
列。8人の職人が1人分ずつ生地を両手で引っ張って、細く、細く伸ばし、ゆで釜に
放り込む。これを中国で「拉麺」(らーみえん、拉は引っ張ること)という。スープ
が、またうまかった。
▼インスタントラーメンは世界で500億食
「お湯を入れて5分」の「即席めん」は日清食品(池田市)が発明して45年にな
るが世界で年間547億食消費される。うち中国は日本の約4倍の191億食で、2
1世紀中に400億食になる、との予想も。「即席めん」がラーメンの本場を席巻す
る勢いだ。(元朝日新聞編集委員 吉原 暢彦)
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