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 甦った戦艦「大和」が人気


 朝日友の会で発行している「アサヒメイト第334号」平成18年01月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。

★悲劇の大和とアニメの「ヤマト」

「戦艦 大和」。戦争を知らない世代はアニメなどで有名になった松本零士の「宇宙戦艦ヤマト」を思い浮かべるだろう。遊星爆弾で滅亡の危機にあった地球を救うため、沈没していた戦艦大和を引き揚げ改造したスーパー宇宙戦艦「ヤマト」で地球への29万6千光年の旅に出るストーリー。
本物の「戦艦大和」は熟年世代にとって思い出は悲しい。第2次大戦開始8日目の昭和16年(1941)12月16日に竣工し、連合艦隊の旗艦となった。当時は、全長263bという巨大さや技術的にも世界一の巨艦だった。が、日本軍の燃料不足で、余り出撃できず終戦(同20年8月15日)の年の4月7日、徳之島沖での対空戦闘で沈没という悲劇的最後を遂げた。

★精密な10分の1復元

その戦艦大和の精緻な10分の1復元が、この4月、大和を建造した広島県呉市に完成した。JR呉駅から歩いて5、6分。呉港に面した「呉市海事歴史科学館」(通称大和ミュージアム)。レンガ道を歩いて行くと、まず「戦艦 陸奥」の巨大な錨、主砲身、スクリュープロペラ、舵が並んでいる。
ミュージアムに入る。中心に据えられた「大和」は実物の10分の1(26・3b)でも「でかい」という実感。2階からも見れる。船首には金色に輝いた日本の象徴「菊の御紋」が光る。8年の歳月と2億円かけて復元した。

★異例の進水式までした復元“模型”?

館内で買った戸高一成・大和ミュージアム館長(復元を主導した)の「戦艦大和復元プロジェクト」(角川書店)によると、可能な限りの資料を集め、船体は6_の鋼板などと完全に本物の縮図。なにしろ、造船会社が製造、航海もしないのに異例の進水式をして、単なる“模型”ではないことを強調。大型資料室には零式艦上戦闘機(ゼロ戦)、人間魚雷「回天」など熟年に懐かしい展示もある。

★映画になって人気倍増

12月に公開される東宝映画「男たちの大和 YAMATO」は、撮影で、この復元艦と尾道にあるロケセットが使われたこともあり、ミュージアムの入館者は大変な人気で10月末で予想の倍以上の100万人突破。3階の「未来への展示室」には、未来への希望を創造し続ける松本零士氏の世界を紹介した「宇宙戦艦ヤマト」の模型、疑似宇宙服などがある。4階テラスからは呉湾が広がる。
20分ほど歩くと戦艦大和を建造したときの名残の屋根の1部があり、「大和のふるさと」と書いてあった。(大阪から新幹線2時間で広島、呉線30分。入館料は一般500円、火曜休館、祝日なら翌日が休み。рO823−25−3017)。呉港内には海上自衛隊の潜水艦などが停泊していた。(元朝日新聞編集委員 吉原暢彦)


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