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 「信長の館」に絢爛豪華な“天守”


 朝日友の会で発行している「アサヒメイト第334号」平成18年07月1日号(発行所/朝日友の会事務局)から転載。

 JR琵琶湖線・安土駅前で「信長の館へ行きたいのですが」と聞いたら「ここにはバスも走っていませんから貸し自転車が一番ですな」と言われた。

★レンタサイクルで走る

   あの織田信長が天下統一の拠点として天正4年(1576)から3年で築いた“天下普請”の安土城。日本初の天守閣を備えていた。特に城跡近くに絢爛豪華な5、6階部分を「信長の館」として再現、観光のポイントにしてるのにJRも普通電車しか停車しない。大阪から快速急行に乗ると近江八幡で乗り換える。イラストレーター永井ひろしさんと、駅前で2時間、500円の「レンタサイクル」を借りる。約15分で近江風土記の丘に。

★金箔10万枚 幻の名城、よみがえる

   メインの「安土城天主 信長の館」は安土城跡とは少し離れているが、城郭の5、6階部分を見事に原寸大で再現している。信長の命で築かれた当時、日本一だった城も築後3年で焼失、“幻”の城といわれていた。が、内藤昌・前愛知産業大学長らの長年に及ぶ調査と昭和44年、東京の静嘉堂文庫で発見された「天主指図」(図面)などの資料を元に最上階までを明らかにした。 資料「安土町立城郭資料館」などによると、5階の外壁が朱、6階の外壁・瓦・天井などは金箔で埋め尽くされていたのを復元している。見学のための階段を上がると豪華、絢爛さに圧倒される。外壁はすっぽり囲まれているが、欲をいえば、外壁がなければ周囲を威圧する素晴らしい安土城の景観になるだろう(入館500円・月曜と祝日の翌日休館・電話0748・46・6512。安土城考古博物館との共通券は680円)。

★セビリア万博で絶賛

 実は、この「信長の館」は平成4年に開催されたスペイン・セビリア万国博覧会の日本館でメ¬ーン展示され、外国人を驚嘆させたという。万博終了後、安土町が譲り受けて解体移築、新たに5階部分に「庇屋根」(ひさしやね)、天人が飛ぶ様を描いた「天人影向図」(てんにんようこうず)、6階は金箔10万枚使った外壁、金箔の鯱をのせた大屋根を取り付けた。金碧障画図も再現された。「5、6階にみる建築意匠は、終極、日本の宗教・思想を統一した“天道思想”を表現したものである」と内藤昌・教授は「城郭資料館」に書いている。とにかく、400年も前に、信長が命じて、当時、日本初の高さ46b(ビルの15階相当)もの豪華な安土城を築いたのには驚きだ。更に現代になって城の5、6階部分を再現したのにも感心した。(元朝日新聞編集委員)


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