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 ネオン街を飛ぶオオムラサギ蝶

(酒の月刊誌『たる』に連載した中から)
最近の曽根崎新地ネオン街はすごい。午前一時を過ぎても"酔人"がぞろぞろ、酩酊してチドリ足。好景気どころか"高景気"を反映しているのだろう。しゃれたクラブビルがどんどん聳え建つ。「ああ、このビルやネオン代の一部に俺が払った"のんべい大学授業料"もはいているのか」とオンネンを持ちたくもなるさ。
だってボトルキープ代は時価の三倍から五倍。会員制高級クラブなら、座るとお一人様二、三万円が、夜のテフテフ(蝶々)代などでパーっと飛ぶ。その蝶か蛾か知らぬが「いただきまーす」と俺の水割りより濃いのを注文する。なんでも「ティーロック」というしゃれた「オンザ・ウーロン茶」なのだそうな。これで一杯ウーロン円。
そいつを少し飲むと「じゃあね、ごゆっくり」と"いない、いないバー"をして、次から次の席へと飛んで行く。「おお、ムラサギ(詐欺)蝶よ(国蝶オオムラサキ)。こちらは財布がチジミ蝶だ」と言いたくもなる。大酒市(大阪)みたいに食料費として税金をゼーゼー使えればいいけどなあ。
その蝶さんも女子大生から昼はプログラマーで、昼夜稼ぐ子、フィリピン、タイ果てはイスラエルと国籍がグローバルになってきた。「君はどこから?」と聞けば、あどけない日本語で「チンガポール」だってさ。
この国際蝶さんを相手に国際語会話勉強ってのはどうだい。向こうも手持ち無沙汰だから、英語で話しかけると生き生きした目になり喜ぶよ。転んでもただでは起きない、いや、「飲んだらただでは帰らない」ガクをつける酔(粋)人になろう。   (九十年七月号)

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