ワインはキリストの血 イスラムは堕落の元凶で禁酒
「飲み物として最も価値があり、薬としては最も楽しい物がワイン」といったのはギリシャの医聖ヒポクラテス。楽しみのない一四〇〇年前だからさもありなん。"いいコンコロもち"にさせるから、麻痺、覚醒させる"ヒロポンクラテス"的に使用した。いま世界で一年に飲むビール量は東京ドーム九十個分で、米国がトップ、日本は四番目でドーム八個分。
が、外国、特に欧州ではイワンと知れたワインが主力。猿人時代の太古からたしなんだらしい。野生のブドウは山に山ほどある。これに蜂の巣から手に入れた蜂蜜を加え発行したのを飲んだのがルーツらしい。
文明の祖はメソポタミヤとギリシャだからワインを飲んだのもここだろう。特にギリシャ人が愛し、エーゲ海文明とともに、あちこちに渡った。ギリシャでは今もワインが主役。最近、ビール工場が出来たが、すぐにつぶれたとアテネで聞いた。
酒は陶酔させる力を持つ。なんでも神話にしないと気がすまないギリシャ人は、陶酔の守護神、ブドウ酒の神として怪神ディオニソスをまつり、ことあるごとに酒を捧げ、その前で飲んだ。「陶酔から詩が生まれ、踊りも出て劇となるので芝居の守護神ともなった。(略)そしてローマ人のなかでバッカスと成り変った時、人々の愛を一身に受ける幸せな神となりました」(古賀守著「ワインの歴史」)。
まさに変神、神芝居神。"真話"とは思えぬバッカスしい話なんて言ったら身も蓋もないが。
キリスト教徒はワインを「キリストの血」とあがめ、イスラム教は反対に「ワインは魔性の飲物、堕落へ導き、神への祈りを忘れさせる」とし、ご法度。酒がからむ神話は、とかく"悲"論理的。神も酒乱、陶酔するらしい。
(九十一年三月号)