「少々」は2升 南国土佐は酒飲み天国
"酒飲み天国"といえば筆者が三年間、勤務した南国土佐の高知をサケて通れぬ。下戸が、ここへ赴任したら"難獄土佐"になること"公知"の事実。「酒は?」と聞かれ「少々」と答えても大変。"少々"は二升で、どうショウと思うくらい飲まされる。「まあどうぞ!」と差し出される杯の底には穴があいているし、そこが丸いので置けず、飲み干さないとカンパイ(完敗)で"ナサケ"なくなる、など酒伝説は汲めども尽きぬ。
会合の後は必ず「まあ、飲んで話すことに、しちゅうか」で、酒と肴は皿鉢(さわち)料理。大皿にカツオなどの刺し身がデーンと出ると、相手に"カツオ"の気分に。そして、同時に出した箸の本数を言い当てるハシ拳ゲームに。完敗する度に杯をカンパイ。運がないと"箸にも掛からず"ダウン。特産の「酒盗」(しゅとう)がピッチを上げる。十二代藩主山内豊資が、そのうまさに「酒盗と名付けよ」と命令したとか。カツオの腸の塩辛で「これさえあれば、酒を盗んででも飲みたくなる」と"盗酔"させるような語源。
太平洋の浜辺でのドロメ祭りはすごい。イワシの稚魚ドロメを肴に早飲み競争。一・八リットルの大杯を飲み干す。優勝ラインは二十四秒前後。女性でも二十六秒で飲み干した記録がある。見物人はあっけにとられて完敗。
安芸から室戸にかけての秋祭りの接待、"神祭"(じんさい)も見もの。門戸を開放し、酒と皿鉢で客を待つ。海と山の幸、羊羹まで十数種を盛った組み皿鉢、寿司皿鉢などが並ぶ。接待を断ると「うちんくの酒は飲めんかよ」とくる。"銚子"にのると泥酔、喧嘩で皿が飛ぶ"ジンサイ"(人災)になるぜよ。
(九十一年五月号)