賑わう止まり木パブ 立ち飲みは割り引き
平成不況は底知れず、新聞には連日、減収減益、赤字転落、倒産、年末ボーナス前年割れ、といった活字が踊り、とても"平静"になれぬ。サラリーマンは給料上がらず、時間外カットにも"カット"する元気もなく、常に肩叩きにおびえ、転職の自信もなく、サラリーフマン。ローン払いで、ささやかなボーナスは"ボーナシ"と元気ナシ、「じっと荒れた手を見る」啄木の心境。
そのためか、赤ノレン(赤字ノレンに見える)が繁盛。キャベツが食べ放題なのが"関西式実質安価ノレン主義"か。だが、揚げ物ともどもソース箱に浸けて食べる方式に躊躇する人も。フライの滓や油がギラギラ浮いたソース箱に、にわかに「はいソースか」と浸けにくい心理が働く。そんなキザなヤツは関西に住めんの声に「はい、ソースか」というしかない。
居酒屋も賑わっている。広辞苑によると、店先で酒を飲ませる酒屋のこと。店からはみ出してビールケースを積み上げてテーブル代わりにして飲んでいるのを見かけるが、時にヤケ酒でノビール人も。だが、一合酒やビールが小売り値で買え、おかきや缶詰、おでんなども安いから実質的。一日でウン十万円を売り上げる酒屋もあるとか。重い酒やビールケースを配達するより儲けが"ノビール"でにんまりか。
安酒を飲ませる店も居酒屋という(広辞苑)。最近は昼は喫茶店、夕方からパブ形式になる二毛作店が増えた。JRガード下、新梅田食堂街の「BELL」(ベル)もその一つ。十数席の止り木と立ち飲みコーナーだけ。朝からの喫茶が夕五時からパブに変身、ノンベイ鳥が集まる。ビール小ビン(三百六十円)とオーシャンウイスキーの水割り(三百三十円)だけ。満員で、立ち飲みコーナー(四、五人)で飲むとビール三百三十円、水割り三百円。"オー・シャン"と差をつけてくれるので、思わず"オー、感謝ンゼリーゼ"。いずれも、おしぼりと、おかき付き、決して料金は"しぼり"取らぬ。ノンベイ鳥のエサはチーズ、温泉たまごが各百二十円、漬物二百円などで最高でも五百円と安い。対応するカウンターレディーが、いずれも半導体チップ型(小さくても知識が詰まった)美人で、打てば響く、時に客の方が、やり込められる話題持ちときているから常連が多くアットホーム的。安いからと飲み過ぎて"ベル腹"で千鳥足にならぬうちに自制の"ベル"を鳴らすのが模範的飲み方のテクストだが。
(九十四年一月号)