カナダ・ナイアガラ
◆ 開閉式球場
むし暑い日本を脱出しようと思い、JTB中之島支店をのぞくと人気投票でオーストラリアに次いで二位にカナダ。
十二時間の飛行だったが、成田を午後五時前に離陸したのにトロントもやはり昼三時すぎ。寝不足と時差ボケで目も"トロン"としている。まずは六月に完成したばかりのスカイドーム球場でナイターのトロント・ブルージェイズ対オークランド・アスレチックスの一戦を。驚いたことに、まだ、外壁や柱など荒打ちのままのところがある。日本では考えられない。だから世界のスターを集めてのオープニングショーの日、雨もりがして豪華な衣装がぬれる被害などがあったと聞いたが、むべなるかなの感じ。いや、いささか、けちをつけ"ドームスミマセン"。 そのドームは屋根を開閉できるのが自慢。三つに分割され、開閉は二十分という。この日は半開きで月も見えて風流。だが、試合はホームランの応酬でおおまかそのもの。守備交代の間、スクリーンに珍プレー集を映すのでのでほぼ満員のドームは爆笑のこだまに。日本にもこんな球場が欲しい。
◆ 財布がナイアガラ
車で一時間半南へ走るとナイアガラ。日本では仕掛け花火の終わりを飾るのがこの滝。それを目の当たりにすると、なるほど大迫力。船で近づくと、六〇メートルから落ちるしぶきと風で台風の中にはいったよう。カッパを着ていてもズボンの下やくつはびしょぬれに。さらにエレベータで下りて、トンネルを抜け、真横から、真後ろからも見れる。
トロンボーン七万六千本を一度に吹いた轟音というから凄い。これまでに、物好き十二人が滑り降りたが半数の命は"ナイアガラ"とか。
ヘリコプターでも飛んだ。滝だから山の中にあると思いがちだが、平野の中を流れるナイアガラ川にできた断層部分が滝になったのがよくわかる。水煙が次第に近づき、やがて真下にアメリカ滝とカナダ滝の大瀑布の競演が。カナダ滝をホースシュー(馬蹄)というが、まさに巨大な白い馬のひづめで、観光船もササ舟のよう。川の真ん中がアメリカとの国境なので越境しながらの飛行。
滝の近くのスカイロンタワー展望台(大阪・ツインタワーより一〇メートル高い一六〇メートル)では昼食をとりながら眼下に見える。
満足し横断歩道を渡っていたときトラベルならぬトラブルが起きた。後ろからやけに押す。ズボンの後ろポケットに手をやると財布がない。近くの警察に駆け込んだ。「世界の観光地、威信にかけて捜査する」とお巡りさんはひげをなでたが。「治安はどこよりいい」という駐在員の言葉を信用しすぎた。もっともこっちだって旅慣れてるからパスポートやドルの大金は首から下げている。被害は日本円五千円とカード。
すしろ「なんだ、日本人は聞いたほどリッチじゃないぞ」とスリはがっかりしているだろう。時差でまだトロントしていたようだ。しかし、気づいたら"財布がナイアガラ"ではシャレにもならない。
(九十八年八月三日「旅・湯・旅」)