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 マウイ島でDOスポーツ

◆ 押しかける日本人
 ハワイを訪れる日本人が年間百五十万人を超えたという。金沢の人口の四倍以上の人が押しかけている勘定だ。"あこがれのハワイ"も"ふだん着でゆくハワイ"いや"日本から近い常夏のリゾート"になった。どうせ行くなら一味違ったレジャーが楽しめないか、と調べたらマウイ島でマウンテン・クルーズやホエール・ウオッチングができることを知った。これぞ新しい"DOスポーツ"と体験にでかけた。
 "ホノルル銀座"のあるオアフ島から空路三十分でマウイ島。ここまで来ると自然の多い田舎で,一面サトウキビやパイナップル畑が広がる。しかし、広島出身という運転手は「マウイ大学へ入るため来た十年前はさみしいところでした。いまは日本人の土地買占めがひどく地価は上がるばかりですよ。それにゴルフ場も日本人でいっぱい。予約をとるのが大変でプレー代は一〇〇ドル(一万五千円)のところが増えました。もう"ジャパン公害"だね」と苦笑した。

◆ マウンテン・クルーズ
 標高三〇五五メートルのハレアカラ火山、つまり立山(三〇一五メートル)よりも高い山から一気に自転車で降りるのだ。その朝、六時半にクルーズ会社のベネットさん(29)が大型ジープで迎えに来た。天気は快晴。自転車を積んだキャリーカーを付けて山を登る。山頂のクレーターまで一時間少しかかった。
 スタートは標高二七〇〇メートル地点で下まで六〇キロある。貸してくれたヘルメットとヤッケは真っ赤、われわれ四人は暴走族風ライダースタイル。
 ベネットさんの先導で一列で下る。冷風を切る感じでかなりのカーブを巻きながら走る。時折、バスなどが追い越していく。休憩するとベネットさんが、あれがモロイカ島、ライナ島と説明してくれる。パノラマ景観がすばらしい。下へ行くほどに牧場が広がり牛や馬が草をはんでいる。パイナップル畑では虫がパチパチ体当りして困る。途中でサンドイッチの昼食をとり、ゴールまで二時間少しだった。ブレーキのかけっぱなしなので最後は握力がなくなった。が、完走した満足感でいっぱいだった。

◆ ホエール・ウオッチング
 捕鯨で栄えた町ラハイナの湾に五月ごろまでザトウクジラが子育てに集まる。ハワイへ着いた日に空港で日本人の俳優が覚醒剤を隠し持っていたのがばれて警察沙汰になったが、あれは"ザトウイチ"(座頭市)鯨だったか。その鯨をウオッチングする。陸地からも潮を吹き上げているのが見える。百人ほど乗った観光船は二〇分ほどでポイントに。エンジンをとめて鯨の接近を待つ。しかし、敵もさるもので遠くで潮を吹き、思わせぶりに尾やひれを見せるがなかなか近付かない。
 それでも潮を吹き上げるたびに「オー」と歓声が上がる。ほとんどアメリカ人だから表現がオーバーだ。その潮を目指して船は右に左に追いかける。こちらは三〇〇ミリ望遠レンズでチャンスを待つ。が、気まぐれに現れるので疲れる。「ヒャー」と後ろで騒ぐので見ると船のすぐそばを二頭が悠然と行くではないか。人垣をかきわけて走ったが遅し。待つ間にこの一月二日に録音したという鯨の鳴き声を聞かせてくれた。「ギャオー」とも「ガオー」とも聞こえる悪声だった。あっという間にウオッチングは終わった。"ザトウイチ鯨"と同じく芸がうまい。思わせぶりな"ホエール芸"を二時間、見た感じだった。
(「イグザミナ」九〇年五月号「ニューポイント・ハワイ」)

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